東京メトロ春日駅の階段を上がり地上に出ると空は快晴。
立冬だと言うのに日向を歩くと少し汗ばむ陽気だ。
陽光の下、白山通りを巣鴨方面へ少し行くと左手に細い道が出てきた。
通りには奇麗にレンガが敷かれ、入り口の左の街路灯には
「柳町」、右には「仲通り」と大きく書かれている。
通りの左右には高いマンション群。
商店街に入ると直ぐ右側に硬貨を入れると
動く遊具が数台並んでいる。
動くのだろうか、かなり年季の入った代物のようだ。
柳町仲通り商店会に立ち並ぶマンションの1階は店舗になっている。
通りの中程にある「やなぎや」が開店するところだったので、
店に入って三代目の店主に話を聞いた。
「やなぎや」は100年以上の歴史がある店で、
元は帽子専門店だったそうだ。
今は肌着や靴や鞄など様々な商品を扱っていて、
近隣の学校の体操着や上履きなども販売している。
話を聞いている最中、
二人のお母さんが来年小学校に入学する子供の上履きを買いに来た。
商店街には他に鶏肉店と青果店の物販の個店があるのだが、
両店とも水曜日は定休日なのだと教えてくれた。
通りがマンションに囲まれる以前は100メートル程の通りに
戸建ての個店が26店舗並んでいたそうだ。
もちろん生鮮三品の店もあり、
柳町仲通り商店会に来れば何でも揃ったらしい。
店主に入り口にある遊具のことを聞くと、
もう10年以上動かしていないとのことだった。
柳町仲通り商店会は千川通りに達すると終点だ。
千川通りの向こうにあるのは、小石川すずらん通り商店会。
千川通りを渡り、小石川すずらん通り商店会を歩く。
店の前に立てかけられた看板に惹かれて入った店はHarmoNic。
3年前に創業したオーガニックの店だ。
店内には、食品、化粧品、日用品など、
様々なジャンルのオーナーこだわりのオーガニック商品が並んでいる。
通りを先に進むと緩やかな上り坂になる。
坂の途中に豆腐店の看板を見つけた。
和賀喜家豆腐店の三代目は毎朝3時から豆腐を作り始める。
中でも人気はがんもどき。
その美味しさは、近隣の家庭の朝夕の食卓を賑わせているに違いない。
帰りに近くにある「こんにゃくえんま」が祀られている源覚寺に寄ってみた。
真赤な祠の前には、こんにゃくが山盛りに供えられている。
祠の中を覗くと、閻魔様がこちらを睨んでいる。
悪いことをしているつもりは無いのだが、その形相に少し後ずさる。
それでも閻魔様は「何でもお見通しだぞ」と睨んでいる。

案内人:小林猛樹
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