王子
京浜東北線 王子駅

森下通り商店会

商店街一覧

桜と狐と最後の緑茶。

今日、訪れたのは王子駅。
駅のすぐ近くには桜で有名な「飛鳥山」がある。
八代将軍徳川吉宗の時代からの花見の名所だ。
その飛鳥山の横を通るのは都電荒川線、愛称「東京さくらトラム」。
今日も満開の桜の横を路面電車が走って行く。
飛鳥山を背にJRの線路わきの細い道を歩いて行くと
「森下通り商店会」の看板を掲げた街路灯が現れた。
駅の近くで営業している店は、ほぼ飲食店。
物販の店は写真店しか見当たらない。
先に進むと信号機のある交差点に出た。
交差する道は権現坂。
横断歩道の向こうに歴史を感じさせる店舗を見つけた。
信号の青を待って早速店へ。店の名は「さがみや」。
店内には様々な鞄や袋が並んでいる。
柿渋染、墨染、藍染など、趣のある商品ばかりだ。
三代目に聞くと創業当初は簪などを扱う店だったとのこと。
時代と共に変化を受け入れるのも、店が百年以上続く理由なのだろう。
商店街を先に進む。店舗の数は少なくなってきた。
店先の鉢に春の花が咲く茶舗がシャッターを上げている。
茶色のサンシェードには「王子園」の文字。
ストレートなネーミングに誘われて店に入る。
店内には女将さんが一人。
女将さんの目の前には青い小さな天秤ばかりが置いてある。
聞くと、天秤ばかりは創業以来40年以上使い続けているそうだ。
しかし、この天秤ばかりの働きもあと2ヶ月。
5月末日で店を閉めるそうだ。
女将さんの淹れてくれたお茶の苦さが胸に沁みる。
話を聞いている最中、観光らしい夫婦が入って来て
王子稲荷神社の場所を訪ねた。
通りを先に行った赤い格子の塀がそれだと女将さん。
来た道を戻って権現坂を上がって行くと王子神社もあるのだと教えている。
頂いたお茶を飲み終えて、僕も王子稲荷神社方面へと歩いて行く。
途中、雰囲気のある店が出てきた。
久寿餅の名店「王子 石鍋商店」。
土産に久寿餅を購入。
帰りに「王子園」でお茶も買わなくては。
石鍋商店を出て先へ少し行くと赤い格子の塀が見えてきた。
楼門を潜って中へ入ると目の前には石段。
本殿へ上る石段の前で二匹の石の狐が僕を見ている。
この狐たちは商店街に暮らす人たちの悲喜交々を見てきたに違いない。
また一店、商店街の明かりが消えて行く。

案内人:小林猛樹
写真はこちら

案内人

商店街。ひと、もの、あじ

  • 王子園

    王子園

    「王子園」という直球勝負の屋号の店舗は、静岡産の茶葉を扱う茶舗。気の良い女将さんが一人で切り盛りしている。店では茶葉の他に吉祥寺の人気和菓子店「こしの」の羊羹を買うこともできる。ただ残念なことに「王子園」は、令和7年5月末日で閉店してしまう。急須で日本茶を淹れる家庭が少なくなっているのだ。昭和8年生まれの女将さん、おつかれさまでした。

    王子園

    王子園 王子園

    「王子園」という直球勝負の屋号の店舗は、静岡産の茶葉を扱う茶舗。気の良い女将さんが一人で切り盛りしている。店では茶葉の他に吉祥寺の人気和菓子店「こしの」の羊羹を買うこともできる。ただ残念なことに「王子園」は、令和7年5月末日で閉店してしまう。急須で日本茶を淹れる家庭が少なくなっているのだ。昭和8年生まれの女将さん、おつかれさまでした。

商店街。MAP

  • ●住所
     ・北区岸町1丁目4

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