九品仏
東急大井町線 九品仏駅

九品仏商店会

商店街一覧

開かないドアの向こうで。極楽へ行こうか。地獄まで突っ走ろうか。

短いプラットホームのせいで、5両編成電車の1両のドアは開かない。
知らずにドアが開かない車両に乗った人は、
次の駅まで揺られて行ってしまうかもしれない。
ここは東急大井町線の九品仏駅。
駅名の由来でもある大きな九躰の阿弥陀如来像を
安置している九品仏浄真寺が駅の側にある。
一月も中頃なのだが、浄真寺への初詣もかねて九品仏の商店街に来た。
駅は島式なので改札を出てすぐ左右に踏切がある。
左へ行けば浄真寺。
右へ行けば環八に出る。
環八までの通りが九品仏商店会。
昭和から続いているであろう店構えの豆腐店や酒店、
花店、肉店、魚店、古書店などと一緒に、
モダンな雰囲気のベーカリーやパティスリーが並ぶ商店街だ。
通りを行くのは仲睦まじそうな老夫妻。
新しい命を乗せたベビーカーと柔らかな笑みを湛えるお母さん。
夢と希望に満ちた純情可憐な女子高校生たち。
短いホーム、阿弥陀如来、レトロとモダン、様々な店と人、
世の中の混沌が交差する。
ここは哲学の通りだ。
商店会としては、来年60周年を迎えるのだが、
昭和の一桁から商売を続けている店も数店舗あるのだと
昭和7年創業の豆腐店のご主人が話してくれた。
浄真寺の紅葉を目当てに訪れる人たちで、通りは秋が賑わうそうだ。
話を聞いている間に高級車に乗った男性客が豆腐を買いに来た。
このアンバランス、何とも言えないコントラスト。
これこそ九品仏商店会の特色だろう。
帰る前に九品仏浄真寺へ行った。
立派な九躰の阿弥陀如来像は、上品上生から下品下生まであり、
それぞれ極楽から地獄までの往生のランクを表すらしい。
できる事なら極楽浄土へ行きたいが、
僕には下品下生の阿弥陀さまが笑いかけている気がした。
さあ、困った。蜘蛛の糸を見つけなければ・・・

案内人:小林猛樹
写真はこちら

案内人

商店街。ひと、もの、あじ

  • 毛利豆腐店

    毛利豆腐店

    昭和7年創業の豆腐店。絹ごし豆腐、もめん豆腐、焼き豆腐、油揚、なまあげ、がんもどき、うの花の他、金時豆やぜんまい、豆腐コロッケなどの惣菜も店に並ぶ。朝四時起きでこれらを作るのは三代目店主。水を扱う仕事なので冬は大変ですねと尋ねたら、夏は夏でつぶした大豆を煮るから熱くてね、と笑った。

    毛利豆腐店

    毛利豆腐店 毛利豆腐店

    昭和7年創業の豆腐店。絹ごし豆腐、もめん豆腐、焼き豆腐、油揚、なまあげ、がんもどき、うの花の他、金時豆やぜんまい、豆腐コロッケなどの惣菜も店に並ぶ。朝四時起きでこれらを作るのは三代目店主。水を扱う仕事なので冬は大変ですねと尋ねたら、夏は夏でつぶした大豆を煮るから熱くてね、と笑った。

商店街。MAP

  • ●住所
     ・世田谷区奥沢

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