四谷三丁目
丸ノ内線 四谷三丁目駅

荒木町商店会

商店街一覧

路地にある店は多彩。その顔を創るのは店主と客たち。

もう、9月も半ばだというのに、まだまだ暑い。
昼前に商店街を訪れるのが常なのだが、
今日は少し趣を変えて西の空が赤く染まった頃、
夜の街に来た。
四谷三丁目の駅から程近い、ここは荒木町。
荒木町商店会には、杉大門通り、柳新道通り、
車力門通りの3つの路地がある。
かつて花街として賑わった街には、
今も多くの飲食店が軒を連ねている。
寿司、焼き鳥、居酒屋、スナック、バーなど、
その種類は様々だ。
チェーン店や大きな店は無く、
300以上の小さな個店たちが個性を競い合っている。
そろそろ店の灯がともり始める時間。
ドア越しに見える店内に客の姿はまだ少なく、
店主たちが開店の準備に追われている。
柳新道通りに「てつまる」と書かれた
大きな提灯を下げる店がある。
今日の目的はこの店。
てつまるは、僕が以前務めていた会社の先輩が営むおでん屋だ。
店を始めてからもう10年経つ。
白醬油仕立てのおでんの他、
様々な手作りの肴を楽しむことができる。
カウンターに座ってビールを注文。
お通しは「ポテトサラダ」と
「自家製ベーコンとナスのバジルソース炒め」と「漬物」。
ジャガイモかと思って白い塊を噛むとリンゴの甘みが口に広がる。
リンゴが入ったポテトサラダは絶品だ。
店主自ら燻製したベーコンも香ばしく美味しい。
もちろんおでんもお任せで注文。
白醤油で作った清んだ出汁から顔を出すのは、
大根、白滝、こぶ、ボール、卵焼き。
器の縁には柚子胡椒。
おでんの種に卵焼きは珍しい。
しばらくすると常連客の初老の男が入って来た。
常連客はおでんを食べた後にカレーを注文。
てつまるでは毎週水曜日にカレーを出している。
週替わりカレーの今日の具材はチキン。
このカレーを目当てに店に来る近所の女性客も多い。
常連客と入れ違いに若いカップルが入って来た。
初めてらしい二人は熱心にメニューを見ている。
お通しのリンゴ入りポテトサラダがカップルの前に。
二人はどんな反応をするのかな。
てつまるを後にすると、
路地にはサラリーマンらしい姿がちらほら。
それぞれの馴染みの店に入って行く。
通りを歩くと賑やかに笑いあう声が漏れてくる店や
一人グラスを傾ける客がカウンターに座る店。
店にはそれぞれの顔がある。
もう少し吞もうと思い、BARの重い扉を開けた。

案内人:小林猛樹
写真はこちら

案内人

商店街。ひと、もの、あじ

商店街。MAP

  • ●住所
     ・新宿区荒木町

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