浅草
つくばエクスプレス 浅草駅

浅草たぬき通り商店会

商店街一覧

道行く人を見守るのは、ご利益豊かな12匹のたぬき。

梅雨が明けた。
夏空の下、平日の昼前だと言うのに
浅草雷門周辺は多くの人で賑わっている。
仲見世を歩く人の半数以上は
海外からの旅行者のようだ。
暑さと人いきれを避けるため、
仲見世を折れて細い通りを選んで歩いていると
「たぬき通り」と書かれた提灯が下がる街路灯を見つけた。
名前に惹かれて通りに入る。
街路灯をよく見ると、
柱に可愛いたぬきのオブジェが鎮座している。
たぬきには「人情たぬき」と記されている。
通りを進んで行くと、あちこちの街路灯に
「開運たぬき」「不動たぬき」「夫婦たぬき」などがいる。
それぞれ「友情の絆」「必勝祈願」「家内安全」「夫婦円満」
などのご利益があるようだ。
数えてみると100メートルに満たない通りに、
計12匹のたぬきが鎮座している。
通りにある店舗の多くは飲食店。
時間が早いので、
多くの店がまだシャッターを下ろしている。
通りの中程に「創業明治二十年 渡邉眼鏡商店」の看板を見つけた。
歴史のある店のようだが、店構えはモダンな雰囲気。
中に入ってみると海外のメガネフレームや
アンティークや鼈甲製のものなど、多彩なメガネが並んでいる。
見ていて飽きないメガネ店は珍しい。
四代目の店主に聞くと、初代はメガネの販売だけでなく、
自らメガネフレームを製造していたそうだ。
店の奥に目をやると、神棚が飾られている。
お洒落な雰囲気の店内の片隅に
四代続く眼鏡店の証が静かにあった。
渡邉眼鏡商店の二軒隣でシャッターを上げるのは
呉服店の「ほてい屋」。
こちらでは笑顔が優しい三代目の女将さんが
暖簾を守っている。
反物が並ぶ店内は、ありきたりな言い方だが
浅草らしさを感ぜずにはいられない。
藍で染められた反物は浴衣に仕立てるのかな・・・、
ほてい屋のまっさらな反物が夏の訪れを告げている。
仲見世などに比べると、
浅草たぬき通り商店会の人通りは少ない。
この静かな浅草を青い目の人がふらりと歩いている。
人力車に揺られて行く女性の頭を覆うのはヒジャブだ。
この細い通りでも異国の人とすれ違う。
まあ、たぬきにとっては僕も異邦人なのだろうな。

案内人:小林猛樹
写真はこちら

案内人

商店街。ひと、もの、あじ

商店街。MAP

  • ●住所
     ・台東区浅草1丁目15−6

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