南千住駅の南口を出ると、
まず目に入ってくるのは林立する高層住宅だ。
近くには大きなショッピングモールがあり
多くの人で賑わっている。
賑わいを横目に高層住宅を中心とした
新しい街並みの中を都立汐入公園へと歩いて行く。
公園に突き当たり、
左に折れて少し歩くと店舗が並ぶ一角に出た。
この商店街が「べるぽうと汐入商店街」だ。
通りの左側の西館には
飲食を中心とした店が並んでいる。
並びの中程に豆腐店があった。
店先には豆腐の他に天ぷらなどの総菜も並んでいる。
通りの右側の東館はショッピングモールになっていて、
壁には「Santokuスーパーマーケット」と
「専門店」と記されている。
中に入ると右がスーパーマーケット、
左が専門店のスペースになっている。
専門店の入り口近くに生花店があった。
岡田生花店では
バラやカーネーションなどの春の花と並んで
彼岸が近いこともあり
様々な菊の花が黄や白の花びらを輝かせている。
岡田生花店の向かいにある西宮酒店の店先には
ワインがたくさん並んでいる。
店内にはビール、日本酒、焼酎、スコッチ、
バーボン、ジン、ウォッカなど、
多彩な酒が置いてある。
店主に聞くと
浅草や上野の飲食店へも配達をしているそうだ。
話し終わるとビールを1ケース自転車に乗せて、
三代目は早速配達に向かった。
酒店の斜向かいには
ふとん店の「おかもと89」がある。
昭和7年創業の暖簾を守るのは四代目店主だ。
店主は商店街の理事もしている。
話を聞くと商店街にある個店の多くは、
元々近隣で商売をしていたのだが
都市整備で古い街が無くなり、
平成10年に新しくできた
「べるぽうと汐入」に入って営業を続けているそうだ。
また、「スプリングセール」や
「わくわく夏まつり」、「ハロウィンまつり」など、
商店街では様々なイベントにも
力を入れているのだと教えてくれた。
ショッピングモールには嬉しいことに鮮魚店もあった。
「お魚 越後屋 津野商店」には、
鮮魚の他に煮魚や焼魚も美味しそうに並んでいる。
新しい住人たちも、サバの塩焼きや
カレイの煮付けでお腹を満たしているに違いない。
新しい街並みの中に、
80年、90年と続く個店が現役で商いを続けている。
人も商店街も見かけによらないものだ。
駅のロータリーの一本の若い桜が花を咲かせている。
この花も数十年先まで、
街の人たちに春の訪れを知らせてくれるのだろうな。

案内人:小林猛樹
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