本郷三丁目
丸ノ内線 本郷三丁目駅

本郷大横丁通り実業会

商店街一覧

人も通りも鰹節も、時を経て、味が出る。

本郷三丁目の駅を出て、
中山道を東大赤門とは反対側、
お茶の水方面へ少し歩くと右手にあるのが壱岐坂だ。
その後楽園へと向かう一方通行の通りにあるのが
本郷大横丁通り実業会。
通りを歩いてまず目に入るのは
街路灯に吊るされたフラッグだ。
フラッグの意匠は様々で、
季節を表す二十四節気をデザインしている。
最初に訪ねたのは小さな店構えの鞄店「せきぐち」。
元は家具店で百年以上前に創業した店だ。
四代目に話を聞くと昔は多くの店が軒を並べ、
店主が子供の頃は近所にある
三河稲荷神社の縁日で夜店も通りを賑わせたそうだ。
少し先にあるのは文具店の「かんばら」。
こちらも戦前からの営業だ。
向かいの本郷花壇には
春の花が色鮮やかに咲いている。
通りには生花店がもう1店舗。
フローリストKTの店主の塚田さんは
華道、茶道、料理に精通した人で、
コロナで今は休止中だが花に囲まれながら
美味しい料理を食べることもできる珍しい生花店だ。
近くにある店舗の軒先に「ウ」の上に
山の形をあしらった屋号が染め抜かれた
前掛けが下がっている。
気になって店に足を踏み入れると
鰹節の良い匂いが鼻をくすぐる。
ここは明治初期から続く鰹節問屋「鵜飼商店」。
四代目が近海で一本釣りした
鰹から作られた鰹節を見せてくれた。
形の揃った黄金色の立派な鰹節だ。
作り方を聞くと、
鰹節は表面にカビを付けて水分を取る。
大きさは生の時の五分の一にまで縮まり、
カチカチに硬くなった鰹節には旨味が凝縮される。
カビは初め緑色を帯びているのだが、
時を経ると黄金色に変わる。
見せてくれた鰹節は店で二年間熟成しているそうだ。
商店街の終わり近くに珍しい書店を発見。
BOOK BRIDGEはシェア型書店で、
本棚を貸し出して個人や出版社が
そこに思い思いの本を並べて販売している。
雑貨店「石田丹成堂」は元は
薬の小分けと販売をしていた店だ。
店名が昔を偲ばせる。
店主に伺うと商店街では
夏に車の通りを止めて
納涼祭を開催しているとのこと。
路上ビアガーデンも出現するらしい。
帰りに東京大学の赤門に行ってみた。
門は閉ざされている。
そろそろ大学入試も佳境の頃だろうか。
受験生たちよ、
狭き門を抉じ開けて、
明日へ歩き出せ!

案内人:小林猛樹
写真はこちら

案内人

商店街。ひと、もの、あじ

  • 鵜飼商店

    鵜飼商店

    鵜飼商店は明治初期に日本橋で産声を上げた鰹節問屋だ。扱う鰹節は近海で一本釣りした鰹から作られたもの。それを店で数年寝かせて熟成させる。鰹節を鹿児島から仕入れる際、四代目は価格に口を出すことはないが、品質に口を噤むことはない。鰹節を選ぶ確かな目と拘りを持った店主の店では、嬉しいことに削り節などを小売りしている。

    鵜飼商店

    鵜飼商店 鵜飼商店

    鵜飼商店は明治初期に日本橋で産声を上げた鰹節問屋だ。扱う鰹節は近海で一本釣りした鰹から作られたもの。それを店で数年寝かせて熟成させる。鰹節を鹿児島から仕入れる際、四代目は価格に口を出すことはないが、品質に口を噤むことはない。鰹節を選ぶ確かな目と拘りを持った店主の店では、嬉しいことに削り節などを小売りしている。

商店街。MAP

  • ●住所
     ・文京区本郷2丁目18−13 イシダビル

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